Eternal Triangle‐最上の上司×最上の部下‐[前編]完
さっき襲ってきた男、塾で知り合った講師で元カレなんだそうだ。
束縛が激しいことから3ヶ月前に別れたものの、よりを戻したいって度々さっきみたいに言い寄ってくるらしい。
いったん気持ちが離れてしまった女をいつまでも追い回したって仕方がないのに、男ってのは結構女々しい生き物だからな。
女も苦労するよな、すっぱり簡単に諦めてくれない男は。
『ありがとう』
『え…?』
うっかりユリカと目を合わせる。
普段下ろしている長い髪をアップにしていて、あらわになった白いうなじがやたらと色っぽく、必要以上にドキドキするので極力目を合わせないようにしていた。
『約束……守ってくれてありがとう』
潤んだ瞳でユリカが言う。
襲われた際に殴られたのか少し口の端が切れていた。
いたたまれずに思わずユリカを抱き寄せる。
『福嶋く…』
切れた口の端に軽くキスをした。
『……』
至近距離で見つめ合い、もう一度、今度はどちらからともなく唇を重ねる。
そうして…
互いにこうなることをもう随分前から望んでいたかのように…
『――――……っ…』
互いの舌を求め合い、
互いの体を求め合い、
互いの熱を求め合った。
ユリカの上で何度果てても、今日の出来事で痛ましい痣となった部分にキスを落とし、心に固く誓う。
俺が…――ユリカを守る。
何があっても守ってみせる。
『俺が…――先輩を守るから』
……約束したのに
約束を守れなかったのは…
―――――…俺のほうだった。
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