Distance
「私も、書いていい?」


筆ペンをしっかり持ち直して、きちんと正座をし、短冊に向かったとき。


「もったいぶんないで、口で言って」


胸の奥に、きゅん!と強い衝撃が走った。
再び寿士が後ろから、私の体を包み込む。


「今までどんだけ我慢してきたと思ってんの。簡単に、俺から離れられると思うな」


なんだか泣き言みたいで、無性にいとおしかった。

体の向きをぐるりと変えて、寿士に向き合う。7年前、あの赤いベンチで叶えられなかったことを、私は果たす。
すんごく恥ずかしかったけど、顔中がたぶん茹で上がったのか?ってくらい真っ赤だったけれど。

正面から寿士に抱きつく。「すき…」耳元で小さく囁いた。
目をきつく瞑ったら、ちかちかと星が際限なく光っているような気がした。

ふっと口端を上げて、寿士は微笑んだ。
お互いの額をくっ付けて、見つめ合うたった数センチの距離にも、もどかしさが募る。

どれほど距離を縮めても想いは募る一方なんだね。
胸がいっぱいで、溢れそうで、抱えきれないほど。

それは雨上がりの窓の外、カーテンの隙間から垣間見える無数の星の数よりも、きっと多いんじゃないかなぁ、と思った。




END









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