マリッジブルーの恋人たち
 昴は、近くのカフェに入った。

 仕事が終わり電車にのって打ち合わせに来るまで、水分を一切とっていないことを思いだし、ラージsizeのアイスコーヒーが、喉を潤してくれると、少しは状況を理解出来た。

 玲奈からの折り返しはない。

 もう一度電話しても、さきほどと同じで、無機質な電子音が耳に聞こえるだけだ。

 外を見れば家族連れや恋人同士で溢れかえっており、みんな笑顔で楽しそうにしている。

 一人でショボくれている自分とは大違いだ。

 そして、昨夜のこと思い出して、七瀬に腹が立って昴は、乱暴にアイスコーヒーを机においた。

*******

 玲奈を追いかけようとするが、上半身裸なことを思い出し、部屋に引き返した。

 するとすぐにベット近くにいる比菜子に押し倒された。

「行かないで下さい。」

「……七瀬、あんまりがっかりさせるようなことするなよ。」

 起き上がろうとする昴に、比菜子は自分の胸に手を導いた。

「私の方が、麻生さんを満足させられますよ?あんな地味な人より……。私の方がスタイルだってほらね?」

 比菜子はさらに距離を近づけ、しまいにはバスローブを脱ぎ出した。

「……。」

「麻生さぁん……。」

 キスしようとしてるのが分かり、比菜子の口を握られている手と逆の手で塞いだ。

< 44 / 86 >

この作品をシェア

pagetop