マリッジブルーの恋人たち

ーそれぞれの真実ー

 翌日、昴は新商品の説明をさっさと済ませると、予定の電車より早い電車に乗り込んだ。

 昨日のうちから、そうするつもりで手配していたのだ。

 何があったのか分からないが、雰囲気の悪さにずっとオロオロしている後輩を残し、何か言いたそうなもう一人の同期を見ずに、昴はある場所へと向かったのだ。

 日曜日の今日は、結婚式の打ち合わせが入っており、行けないと言っていたが、スムーズに仕事も終わり、どうにか間に合いそうな時間だった。

 予定の時間、3分前に何とか滑り込むことが出来た。

 フロアー見渡し、玲奈の所在を確認するが、見当たらずウロウロしていると、担当者が驚いたように向こうからやって来たのだ。

「あれ?麻生さん。今日は、お仕事じゃ?」

「あっお世話になります。どうにか仕事終わって。それより玲奈はもう来てますか?」

「えっ?……えっと、今日は都合が悪くなったて、連絡ありましたけど……。」

 担当者が気まずそうに昴に小声で話す。

「えっ?」

 昴は、呆然としてそれ以上何も言えなかった。担当者が一生懸命取り繕えてくれるが、頭の中には疑問だらけで、担当者の声は聞こえていない。

 "また改めて二人で来ます"と、どうにか言葉にしたものの、お互い気まずい感じであった。

 式場を出て、玲奈に電話するが、聞こえるのは無機質な電子音だけだった。
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