マリッジブルーの恋人たち
 そのみんなの姿を見ながら、思い出したのは初デートの思い出だった。

*******

「なっ、初デートしようか。明日。」

「……明日?」

 猛烈なアタックを受けて昴と付き合ったはずが、初デートまでの道のりは長かった。

 出掛けるときは昴の部活の仲間がいたり、静華がいたりして、完全に二人きりはなかった。

 それが意図的なのか分からなかったが、恋愛初心者の自分にはグループデートで調度良かったのだ。

 だから、急なお誘いに困惑した。

「かっ可愛い格好出来ないよ?急に言われても…。」

「いや。そのままでいいからさ。」

 真っ赤な顔をしながらはなす昴に、緊張してるのは自分だけじゃないんだと思うと、安心して頷く事が出来た。

 次の日、晴天でピクニックに出掛けた。

 その頃から料理は好きで、デザートまで張り切って作ってしまい、二人なのに運動会並のお弁当を、目を輝かせながら昴は食べてくれた。

 帰り道、通りかかったゲームセンターの隅っこにあるプリクラ機で初デート記念のプリクラを撮った。

 そして、プリクラ機を出ようとした瞬間、腕を引っ張られ中に連れ戻されると、ふいに唇に何か触れた。

 
< 79 / 86 >

この作品をシェア

pagetop