マリッジブルーの恋人たち
 これがお互いに初キスだった。

 触れるだけの、子供のようなキスだったが、玲奈は真っ赤になって動く事が出来ないで暫く呆然としていた。

 ふと、昴を見ると自分より赤いんじゃないかと思うくらい顔がゆであがっており、自分の緊張も和らいだ。
 
 DVDを見ながら笑みが溢れてくる。

 それは、昴も同じようでいつの間にか重ねられた手がきつく握りしめられていた。

「全くあいつは……!!何で俺たちのプライベート写真を持ってんだよ。あぁ恥ずかしいっ!!」

 そんな憎まれ口を叩きながらも嬉しそうにしてた。

 披露宴が終わる頃には昴はげっそりしており、そんな昴を見て苦笑いをした。

 控え室に戻ると昴にすぐに抱き寄せられ、濃厚な口づけをされた。驚いていると、ばつが悪そうな昴とすぐに目があった。

「ずっと玲奈を独り占めしたかったのに……。」

「私には昴だけだよ。何いってんだか。」

「俺だけの玲奈で。みんな好き勝手言ってたのにさ。実は綺麗でスタイルいいってバレた瞬間、あいつら手のひら返しやがって。」

 昴の言うあいつらって同期の男たちかと、思いながら昴の背中に手を回し、ポンポンとこどもをあやすように慰める。

「昴……。愛してるよ。これからも、よろしくね。」

 二人は暫くの間、抱き締めあい夫婦になったこの時間を噛み締めた。

 長い道のりだった。

 出会って、付き合って、喧嘩して、ぶつかり合って、二人の運命が重なったのは、奇跡と言うべきか必然と言うべきか。

 最初で最後の相手と結婚できたのはやはり"運命"なんだと、私は思う。
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