あの夏の続きを、今
「志帆、どうしたの〜?」
カリンの声で、はっと我に帰る。
「先輩………あんなにそっけなくて……」
「………?」
私はカリンに心の内を打ち明ける。
「私がこんなに何度も、強引なぐらいに話しかけにいってるんだから、きっと先輩は私の気持ちに気づいていたっておかしくないはず…
なのに、あんなそっけない態度で。
先輩は、私のことなんか、全然気にしてないのかな……」
カリンは悲しそうな顔をしながら、黙って私の話を聞いていた。
「────カリンには言わなかったけど、前に一緒に浜百合高校の定演に行った時に、知らない女子と一緒にいる松本先輩を見たの。
それもあってずっと不安だったんだけど、今日、改めて感じたの。
先輩は私以外のたくさんの人と、毎日毎日関わってる。だから、他に好きな人がいたっておかしくないし……
私の干渉は、迷惑なのかもしれない」
私はそう言って俯く。
3秒くらい経ってからカリンが、「でも、まだそれを先輩に確かめたわけじゃないんでしょー?だったら、まだ落ち込むには早いよっ!!」と励ましてくる。
「そうかなぁ……」
そう言いながら、私は正面玄関に向かって歩き出す。
カリンもその後に続いて、私たちは建物の外に出た。