あの夏の続きを、今


午前中の合奏は順調に終わり、昼食の時間。


私たち3年生の部員は、全員で輪になって音楽室の床に座り、話しながらお弁当を食べる。


「ね、志帆、結局志帆は、浜百合高校に行くの?」

「うん、決めたよ。もう迷わない」

「さすが!まあ、志帆なら、迷っててもいつかは浜百合を選ぶんじゃないかって思ってたよ」


すると、私の隣で話を聞いていたカリンがこう言う。


「じゃあ……志帆は、遠くに行っちゃうってこと?」

「うん……そうなるね」

「浜百合、すごく遠いからね。寮に入るんだっけ?」

「先輩達は高校生になってからもよく会うって聞くけどさー、あれだけ遠いと滅多なことじゃ会えないよね」

「実質お別れかぁー」


……お別れ。


胸が、ずきんと痛む。


すると、輪の中でハヅキが声を上げる。


「え、じゃあさ、先輩の件は?どうなるの?」

「ちょ、声が大きい!」


皆に一斉に視線を向けられて、顔が熱くなる。


「確かに。志帆、浜百合に行っちゃったら、もう会えないんじゃない?」

「告白しちゃう?どうするの?」


周りが口々に言う中、私は答えた。


「向こうに行く前に、ちゃんと伝えるつもりだよ。もう、覚悟はできてる」

「おぉ〜っ!」


隣のカリンは、笑顔で「応援してるよ!」と言っている。


「うん。ありがとね。……悔いのないように、精一杯頑張るから」
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