御曹司と溺愛付き!?ハラハラ同居
そして、それを合図に、さーっと人の波が引いていった。


「本当に申し訳ありません。ありがとうございました」


老夫婦に深く頭を下げると、「人生いろいろあるわよ。頑張りましょうね」と声をかけられ、さらに涙腺が崩壊した。


「私も失業、か……」


給料日は三日後。
この状況で当然払われるわけがない。


そうして私は、二年間必死に働いてきた仕事を一瞬にして失い、社員寮として契約されていたマンションも追い出されることになってしまった。

貯金は少しはあった。

でも、少し前に両親に温泉旅行をプレゼントしたばかりで、かなり目減りしている。


不動産屋に行ってみたものの、無職の私に部屋を貸してくれるところはない。

ニュースで会社の倒産を知った母から電話があり、実家に帰ってくるように言われたものの、私はもう次の仕事が決まったからと嘘をついた。

できればこのまま東京で働きたかったからだ。


だから、保証人を頼むこともできず、紹介されたのはマンスリーマンション。
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