御曹司と溺愛付き!?ハラハラ同居
事実を目の当たりにしただけで、今更なことなのに。

あれ……どうして涙が出るんだろう。
どうして、心がこんなに痛いの?


「私……」


もう無理だ。
必死に蓋をしてきた感情が、決壊した堤防から水が一気に入り込んでくるかのように、みるみるうちに溢れ出して止まらない。


「一木さんが、好き」


声に出してしまうとますます自分の気持ちが鮮明になり、胸が苦しくなった。


近くにあった公園のベンチに座り、何度も深呼吸を繰り返す。
でも、ふたりがキスを交わした光景がフラッシュバックしてきて消えてくれない。

あのキスは一木さんからしたんじゃない。
だけど……もやもやした気持ちがまったく収まらない。


「一木さん……」


もう、家政婦ではいられないよ。


それでも私の帰る家はあそこしかない。
気持ちを落ち着けた私は、近くに駅を見つけて電車に乗り込み、家へと向かった。
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