御曹司と溺愛付き!?ハラハラ同居
「すみません。明日からは五時に起きます」

「いや、いい。起きてもやれることはない」


彼の言う通りだった。
ニューヨークの市場がどう動こうが、私に分析なんてできるわけがない。


「コーヒー淹れますね」


それならせめて家政婦業務を頑張ろう。

すぐにコーヒーを淹れ、朝食作りに取りかかる。
家では仕事を忘れてほしいと思ったけれど、朝はそうもいかなさそうだ。

パソコンでデータを確認し、時々キーボードを打っている彼の表情は真剣そのもの。
話しかけることすらためらうほどだった。


「あの、朝食は……」


食べてほしいけど、無理だろうか。

恐る恐る話しかけると「はー」と息を吐きだした彼は顔を上げ、「もちろんいただく」と言ってくれたのでホッとした。
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