[実話]16歳〜私の生きた道〜
目の前に広がるのは、音の無い世界…。
かなり昔の映画を見ているような気分だった。
規則的に動く人…。
ただひとり取り残された私…。

父親の遺体が葬儀場へと運ばれる。
私は、母親運転の車で葬儀場へと向かう。
母親との会話は、もちろんない。
部屋に通されて父親の遺体が置かれる。
まだ眠っているように見えて、今にも起き上がりそうだ。
遺族のいる場所は居心地が悪くて私は、ひとり外に出る。
空は真っ暗で、月が淋しげに光を放っていた。
カバンの中からタバコを取り出して火を点ける。
セブンスターの香が広がる。
吐き出された紫煙が月に向かっていく。
身体の血がざわめき、落ち着かなかった。
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