[実話]16歳〜私の生きた道〜
薬…点滴…薬…。

いつまでも終わらない連鎖。


家族は、会いに来るはずもなかった。
だって人形会いに来るわけないでしょ…?
まわりの子供は、愛されてなぜ私は愛されないの?
表情も、感情も、いつしか忘れた…と言うよりは、笑い方も泣き方も分からない…。
身体で、訴えるしかない私…。

我慢できなくなっては暴れてヒステリーを起こす私を、いつしか皆『キチガイ』と呼ぶようになった。

幼稚園に通う歳になった私は、まだ病院の中で生活していた。
平均体重の半分くらいしかない私。
寝ても覚めても薬と点滴。
母親の顔は、忘れかけていた。
そんな時、母親が初めて私に小さなウサギのぬいぐるみとタオルを買って持って来てくれた。

最初で最後のプレゼント。


その時、どんな表情をしたかは忘れたけど、今でもぬいぐるみとタオルは、きちんととってある。

病院から出る日は、うれしかったのか悲しかったのか分からないけど、たくさん泣いたのを覚えている。
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