[実話]16歳〜私の生きた道〜
家の中での友だちは、たった一度だけ連れて行ってもらえたお祭りでとった金魚。
毎日水槽の中を楽しそうに泳いでいる。
くるくるくるくる弧を描くように。
いつまで見ていてもあきない。
水槽の前で1日を過ごすなんてあたりまえだった。

幼稚園には年長組から行きはじめた。
お昼は、お弁当。
唯一母親が作ってくれる食事。
1日1回のお弁当が楽しみだった。
残してしまえば、二度と作ってもらえないと頭の隅っこにあったけど…。
家で母親とふたりでいて、ただ虐待されるよりは幼稚園で遊ぶほうがすごく楽しかった。
家にいたら遊べないし、食事だってまともにもらえないから。

ある日のお弁当に変わった形の唐揚げが入っていた。
一口で食べられないから箸を使って小分けした時、それが何の唐揚げなのか気づいてしまった。
その唐揚げは…水槽で泳いでいたはずの金魚…。
思わず気持ち悪くなってトイレに駆け込み、今食べたものをすべて吐き出した。
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