それでも前を向く。
『なに?かのじょ?』
少し焦りながらそう文字をうてばすぐに付く既読。
『ちげぇよバーカ』
なんて返ってくる悪態も目に入らない。
友達がくる。それはつまり私たち以外の人がこの家の屋根の下にくるということ。
何を隠さずとも、この家には私と兄しかいない。
母親と父親は小さな頃に病気だらけの私を育児放棄して、そして捨てた。
そんな身よりもない私を拾ったのが、私の従兄弟の家系でもある兄。
増岡知宏(ますおかともひろ)だ。