強引社長といきなり政略結婚!?

こんなにまっすぐに想いをぶつけてきてくれるのに、私はなにを迷っているんだろう。


「だから、汐里はなにも心配するな」


微笑み返して、「はい」とうなずいた。


「よし。じゃ、送っていくよ」

「え?」

「藤沢社長に盛大に見送られたのに、外泊はさせられないからね。日をまたぐ前に大切なお嬢様を送り届けないと」


朝比奈さんはおどけて笑った。

多恵さんの言うとおりだ。本当に誠実な人。


「正直言うと、さっきは危なかった。今夜はキス止まりだって決めてたくせに、危うくその先にいきそうになった。その点では会長に感謝だな」


朝比奈さんが照れくさそうに笑うから、私まで笑顔になる。
“その先”の言葉には、顔が熱くなった。

私は素敵な人に恋をしたのかもしれない。
ふと、そんなことを思った。

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