強引社長といきなり政略結婚!?
「それは……」
いたずらに探るような視線に、言葉がぐっと詰まる。
朝比奈さんだって、本当はわかっているはずだ。
「それとも、幼馴染とかいうホテルマンと結婚したい?」
「――ち、違います!」
静かな店内に私の声が響いてしまった。つい興奮してしまったせいだ。
肩をすくめて、周りのお客に謝罪の目礼をする。
「ごめん。ちょっと意地悪しちゃったね」
ほら。やっぱり朝比奈さんはわかっているんだ。私が朝比奈さんをどう思っているのかを。
「変な話を聞かされたから、つい汐里をいじめたくなった」
「変な話ってなんですか?」
「汐里のファーストキスの相手が、さっきのホテルマンだってやつ」
朝比奈さんの言葉に思わずむせ込む。