強引社長といきなり政略結婚!?

「どうして一成さんが?」


浩輔くんの車に忘れたのは、私の思い違いだったのか。いや、でもあの時は確かにしていたはず。
目を瞬かせていると、一成さんは目を鋭くさせて私を見た。
久しぶりに会えたのに、どうして睨むのか。


「その前に聞きたいことがある」


声にまで凄みを感じさせるものだから、私は息を呑んだ。


「西野浩輔と会ったのか」

「……え? 会っては……」


会ったのとはちょっと違う。奇襲のようなものだ。


「それじゃ、どうしてこれを西野浩輔が持っていた? 汐里の手袋だろう?」


浩輔くんが?
それじゃ、やっぱり浩輔くんの車に置き忘れていたの?
……それならどうして私にじゃなく、一成さんに渡すのか。
不可解にもほどがある。

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