強引社長といきなり政略結婚!?

私はすっかり自信を失ってしまった。


「とにかく行こう」


助手席で固まっているとドアが開けられ、一成さんに手を差し出された。
なんにせよ、ここでもたもたしていても仕方がない。おじい様が呼んでいる以上、行かないわけにはいかないから。その手を取り、車から降り立った。

おじい様の病室は、三階のナースステーションに近いところにあった。
ドアを開けて先に入った一成さんのあとに続いて入る。
さっきから心臓は嫌な音を立てていた。目線を下げたままベッドへと近づく。
個室らしく、十畳ほどの部屋にベッドがひとつだけだった。


「一成、来たのか。汐里さんは?」


彼の背中に隠れていた私は、一歩横へ足を踏み出し、「こんにちは」と頭を下げた。


「こんなことになってしまい申し訳ありませんでした」


続けざまに謝罪を口にする。
するとおじい様は、「どうしてそなたが謝るんじゃ」と不思議そうに尋ねた。

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