【短ホラー】ドウソウカイ。
サイカイ
それから何度も夜を迎えた。

あたしは、お客さんが居なくなる度に、手の指を一本ずつ折った。


それは四本目、右手の薬指を折る夜だった。



いつもの足音の他に、ズルズルと何かを引きずるような音が混ざっていた。



思い出すわ。


意識が薄れる中であたしも今日のそれと同じように引きずられて、ここにやってきたんだ。


多分、このお化け屋敷に、新入りが入るのだろう。


入り口の方から音が近づいてきて、男が汗をかきながら新人を引き摺ってきた。


新人はあたしの前まで連れてこられた。



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