先生、もっと抱きしめて
放課後のチャイムが鳴り、私は数学準備室へ急いだ。
先生は、今週は準備室での作業が多いらしい。

コンコンとノックをすると、「はーい」とマツタクの声がした。

「失礼します……」

カラカラとドアを開けて、ちょこんと中を覗く。
マツタクが振り向き、手招きをした。


「覗かない。入りなさい」

「はあい」


カラカラとドアを閉めて、先生の隣の長机に鞄を置いた。


「えっとー。じゃあ、コレ30分で解いてもらって。オレはちょっと作業してるから、終わったら声かけて」

マツタクはパソコンを指差して言う。

「はい」

ここで追試かぁ。
プリント一枚を手渡される。

……解けるのかな。

一抹の不安がよぎりながらも、せっかく先生が5日間も時間割いて教えてくれたんだから、と意欲を出して取りかかった。
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