狼社長の溺愛から逃げられません!
 


目を開くと、私は見覚えのない部屋で寝ていた。
高い天井に豪華な内装に、ここがどこだか思い出して一気に目が覚める。

そうだ、私。昨日社長とここで……。

美しいジャガード織りのシーツがかけられた広いベッドの上で、昨日の夜のことを思い出して思わず両手で顔を覆う。

ここも、ここも、ここも。社長に触れられキスをされた。体中にその感触が残ってる。
思い出すだけで体が甘くうずく。
私に覆いかぶさる社長の表情。乱れた呼吸。体の温度。


……どうしよう。私もう社長の顔を直視できないかも。

「うーーーっ!!!」

じっとしていられなくて顔を覆ったままジタバタと足を動かすと、背後から小さなうめき声がした。

「……っとに、なに暴れてんだよ」

かすれた低い声にびくっとして振り向くと、同じベッドで寝ていた社長が目をつぶったまま眉をひそめていた。

「あ、すいません……っ!」

思わず真っ赤になった私を、社長は目を閉じたまま腕をのばし引き寄せる。
胸の中に抱き寄せられドキドキして息を殺しながらじっとしていると、優しく頭をなでられた。


 
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