狼社長の溺愛から逃げられません!
 

最初は一緒にいるだけで楽しかったけど、今は正直ちょっとしんどい。

「倦怠期ってやつなのかなぁ……」

ぽつりとつぶやいて、少し悲しくなる。

学生時代、恋をすることもなく社会人になった私にとって、努は生まれてはじめてできた彼氏だった。
今まで彼以外と付き合ったことがないから、こういうときどうしていいのかよくわからない。

『ごめんね』ってメッセージ送っておこうかな。
でも、私別に悪いことなんてしてないし……。

恋愛経験豊富な子なら、きっとこんなことで悩まないんだろうな。

スマホの画面に触れながらしばらく考えて、なんだか全てが嫌になった。

「あー!! だめだっ。仕事しよ!」

わしゃわしゃと自分の髪をかきむしりながら大声でそう言って、努のことは頭から追い出し気持ちを切り替える。

スマホに入れた音楽の中から、『ルイーズ』の中で使われたフレンチ・ポップスを選んで耳にイヤホンを突っ込む。

今コピーを考えている映画のヒロイン『ルイーズ』もそう。嫌なことがあるとお気に入りの音楽をかけて自分をはげましていた。
少しドジですぐに小さな失敗をして、でもめげずに頑張る主人公。

ちょっと妄想癖があって、好きな音楽を聞くと踊りだしたくてうずうずしちゃうとびきりキュートな女の子だ。

 
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