狼社長の溺愛から逃げられません!
苛立ちと安堵が半分ずつくらいの顔で睨まれる。
「……っとに、お前は相変わらず無防備にふらふらしやがって。男の部屋にひとりでのこのこ入んなバカ」
「別にふらふらしてないです」
「お前はその無自覚さが余計に厄介なんだよ!」
そんなやりとりをしていると、見ていた小笠原さんが吹き出した。
むっとしたように社長が顔を上げると、小笠原さんが物珍しそうにこちらを見ていた。
「黒瀬のそんな余裕のないとこ、はじめて見た」
そんな小笠原さんに社長は舌打ちをすると、不機嫌そうに口を開く。
「お前、なに勘違いしてんのか知らねぇけど、俺はずっと余裕なんてねぇよ」
「そんなことないだろ。誰よりも仕事が出来て、女にももてて」
「他人が努力してるところを、お前が見ようとしなかっただけだろ」
「でも、紗英の気持ちを利用して裏切った」
ぽつりとそう言った小笠原さんに、社長は顔をしかめた。