振った男 振られた女〜20年〜

久しぶりの医局は ただただ忙しく
時には家にも戻れなかった

実家に帰ると生活に不便はない

両親は女を気に入らないらしいし
女は結婚を待っている

もう面倒だった
何もかも面倒だった

そのうえ 結婚するとなれば
教授に挨拶をしなければならない

戻ってすぐに結婚の話ができるほど
医局はのんきな雰囲気ではなかった

たまに女に会ってもつまらなくなった

女の話も聞いていなかったし
そんな暇があるなら
早く帰って 別のことができる

女がだんだん みすぼらしくみえた

女はずうずうしくなった

もう 嫌だった
女が 嫌だった

私の態度で女もわかるはずだ

私は別れを切り出した

女は大声で泣いた
結婚の約束をしたことを
私のせいにして泣いていた

この女は私ではなく
医者と結婚したかったのだろう

泣かれれば泣かれるほど
うんざりした

不履行で訴えたらどうすると言うから
代々の財をかけて闘ってやるといった

金目当てだったのか

女に切り出したのは別れるためで
やりなおすつもりはない

親にも姉にも話はしてある

別れ際に何か言っていたような気がするが もう忘れた
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