いじめっ子には愛の鎖を










店を出ると、随分暖かくなった風があたしと赤木さんの間を吹き抜けた。

その風が意外と強く、よろめくあたしを赤木さんがそっと支える。

みんなに笑われているくせに、三十三年間も童貞だって言われているくせに、赤木さんは想像以上に優しくていい男だと思った。

それでも赤木さんに乗り換えるなんて思いは浮かばず、ただひたすら淳太君を思う。






「赤木さん、ありがとうございました。

お話を聞いてくださったうえに、ご馳走までしてくださって……」



「いいんだ。

僕は藤井さんと食事が出来て、すごく嬉しい」




赤木さんはまっすぐで素直だ。

そして、びっくりするくらい正面からあたしにぶつかってくる。


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