羽をくれた君へ。
「魁音がいたから、私もやりたいって思った。魁音のギターみたいな音を出したいって思った。・・・・・・・私が、魁音のギターに救われたから、私も私のギターで魁音の役に立ちたいって思った。それだけだよ。」



伝わった?


私の気持ち。


「魁音。雫の言ってる意味分かっただろ?なら、お前はこっちだろ。」


リクさんはそう言うといつもの黒と白のエレキを持ってきた。


「一緒にやればいい。」


そう言ってリクさんは座った。


「魁音。雫と、やってみろ。」


智兄が笑いながら言う。


「私も聞いてみたい。魁音。」


美紅さんが魁音に言った。


魁音は何も言わず、私の隣に立った。


そして、深呼吸すると音を鳴らした。


入院する前の魁音と同じ音。


全然変わらない。


相手を震わすような力強いギター。


魁音は私が弾けそうな簡単なリズムを作ってくれた。


それに合わせて私も入る。


そして、今度は即興で歌ったんだ。


魁音とギターを弾けてる嬉しさを腹の底から声に出した。


魁音は嬉しそうに笑った。


やっと、笑った。


本当の笑顔を見せた。


私は魁音の方を向いてギターを弾きながら歌う。


魁音も私に気づいて向かい合わせになった。


すると、魁音が小さい声で「背中!」っと言うから私は後ろを向いた。
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