羽をくれた君へ。
「・・・・・・そ、うか。こういう時ってなんて言ったらいいか分かんねぇな。でも、雫に言ったのか?」


「・・・・・・・・・・言わない。」


「それは、なんで。」


「俺は雫に歌を歌って欲しいの。・・・な、いて欲しいわけでも、・・・・悲しんで、欲しいわけでもない。・・・・・・絶対、言ったら雫は泣くから。・・・・・う、もう、泣いてるところは見なくていい。笑ってる顔を見れるだけでいい。」


智兄は悲しそうな顔をしてたけど、急にスマホを取り出した。


「一緒に、撮ろーぜ。・・・なんだかんだ、一緒に撮ったことねーだろ。」


「確かに。・・・・いいよ。」


兄弟で撮るって変なのかな。


そんなことどうでもいいけど。


「・・・・・魁音。俺は、お前の兄ちゃんで良かったよ。お前を、誇りに思う。」


「俺に、・・・誇りなんて、使わなくていいんだよ。」


「あはははは!お前らしいな。・・・・・魁音。奇跡は起こるからな。それだけ覚えとけ。」


「・・・・・うん。分かった。ありがとう、智兄。」


「おぅ。また来るわ。」


「うん。行ってらー。」

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