あの空を越えて逢いにいく。
「そっかー、やっぱ分かんねぇのか」





逢坂くんは少しガッカリしたように
手を離す。



「すみません」

「いや別に仕方ねーじゃん」









それから逢坂くんは
霊感体質のことを私に話してくれた。







普段もよく霊のせいで気分が悪くなるから
今まで出来ずにガマンしてたことも多かった。



海に来たのもそのひとつだったって。



「お前いたらこれから色々できそうで良いな」 



なんて嬉しそうに
当たり前みたいに言うけど。



私はそんな一言にも戸惑ってしまう。


友達もいなかった私は
そんなことを言ってもらうのも初めてで。


私がいることが良いなんて‥‥

嬉しいような、疑ってしまうような
不思議な気持ち。







あとは留年したのも
霊的な体調不良による遅刻早退欠席や
勉強に集中出来なかったりが原因だったって。




「不良だった訳ではなかったんですね‥‥」

「別にいい子でもないけどな」

「いつも不機嫌なのも霊的な‥‥ですか?」

「それは性格(笑)」






小中学校は義務教育で通ってきたけど
高校は辞めれるなら退学でも良いらしい。


親がそれを許さないだけで。




除霊師や占いはもちろん試してきたけど
どれもあまり効果がなくて


だから最近はもう
普通の生活は諦めてたんだって。



私に会うまでは‥‥











「こんな変な話、俺とお前の秘密な」



最後に逢坂くんは
自虐的に笑ってそう言った。









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