渇愛の契り~絶対王と囚われの花嫁~
「お祝いの日だというのに、喧嘩するなら出て行って下さいませ!」
(マオラ……)
マオラの怒りが爆発し、ハミールとシュドは顔を強ばらせた。
そんなマオラにカルデアは苦笑いを浮かべる。
(マオラにかかれば、砂漠の王も側近もタジタジね)
「失礼したよ、マオラ嬢。その怒りを収めておくれ」
「では、カルデア様、私達はこれで」
マオラの手を握ろうとするハミールの背中を押して、シュドが私に頭を下げる。
「来てくださって、ありがとうございました」
「これからお仕えする方がお嫁に行くのです、当然の事をしたまで。どうぞ、ガイアス様とお幸せに」
「あっ……ありがとう、ございますっ」
部屋を出ていくシュドに、カルデアは大きな声でお礼を言った。
そして、ポロポロと涙を流しながら、微笑む。
イナダール国へ嫁ぐ時、カルデアは見送りもお迎えも無かった。
それが両国にとってただの政略結婚であり、祝う理由も特に無かったからだ。
なのに、今はカルデアを祝おうと使用人や側近、他国の王が集まってくれている。