渇愛の契り~絶対王と囚われの花嫁~
カルデアとガイアスは一度城へ帰ると、すぐに遠乗りの支度をした。
カルデアは一人で馬に乗れるが、ガイアスは少しでも近くにいたいからと、カルデアを前に横座りにさせて、馬を走らせる。
最近では、自然とそれが、二人の決まり事になりつつあった。
「風が気持ちいい……」
「日が暮れてきたからな、少し涼しくなったんだろう」
馬上で揺られながら、カルデアはガイアスの胸に寄りかかる。
ガイアスの言った通り、夕日が空を茜色に染めていて、カルデアは初めてガイアスとあの丘へ来た時の事を思い出した。
『カルデア、ナディア国の男は強引な猛者ばかりなんだ。その心に攻め入って、必ず奪うから覚悟しておけ』
「ふふっ……」
(あの時、ガイアスは確かそう言ったわね。言葉の通り、私の心はあなたに攻め入られて、全て奪われてしまったわ)
「……ん? どうした、楽しい事でもあったか?」
カルデアが笑った事に気づいたガイアスは、カルデアの顔を覗き込むようにして、前のめりになる。