渇愛の契り~絶対王と囚われの花嫁~


「愛という事にしておけ、カルデア……」

「っ……それは……」


(だって、私は未亡人なんですよ……?)

そう言葉にしてしまいそうになり、カルデアは唇を噛む。

自分はガイアスとは釣り合わないと自覚する度に、カルデアの胸が絞ったような苦しくなる。


「俺に身を委ねて、愛だと錯覚してしまえばいい。その内、本当の愛に変わっていくかもそれないぞ?」


「……それは、出来ません」

「何故だ」

「……たとえ、偽りでもあなたには……幸せになって欲しいと願うからです、ガイアス様」


(心からで無いとはいえ、一度誰かに愛を誓った私とではなく、あなたに初めて愛を誓える女性と……幸せになって欲しい)


それを心から望んではいないのだと、カルデア自身も気づいていた。

胸に広がっていく悲しみに気づきながらも、カルデアは笑顔を貼り付ける。

作り笑いを浮かべる自分に、カルデアは自己嫌悪に陥りそうだった。

< 94 / 205 >

この作品をシェア

pagetop