(完)嘘で溢れた恋に涙する
「あーあー、勝手にやっとって。あ、お母さん!じゃあね、また後で!」



美結が呆れたように首を振りながらそう言って走って行った。



「おーあとでなー」



理玖が軽く返事し、私は手を振って送り出した。



「由姫のとこは誰か来てくれるのか?」



確かじゃないけど、微妙な返事をしたら理玖は心配してずっと私の側にいるに違いない。



理玖にまで迷惑をかけたくないから、平静を装って頷いた。



私の迷いのない返事に安心したのか、理玖とはそこで別れた。



とりあえず、お母さんを探してみよう。



当てはないけれど、狭いグラウンドだし、人の数も前いた学校に比べれば全然少ないからいるとしたらすぐに見えるはず。



いなかったら…適当に時間を潰そう。



そう決めて、グラウンドの端からきょろきょろしながら確認して行った。



半分くらいに来たあたりで、



「由姫!」



そう呼ばれて振り返ると、息を切らせてこっちに走ってくるお母さんがいた。




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