(完)嘘で溢れた恋に涙する
視線の先にいた理玖がこっちを向いて、目を見開いた。



そして、嬉しそうに太陽のような笑顔を浮かべて右手を上げ、さらに加速して行く。



風のように目の前を走り去って行った。




その姿に目を奪われていたけど、自分に向けられた視線を感じて周りを見回す。



隣に座っていた子が泣きそうな顔をしていた。



そして絞り出すように声を発した。



「今…っ、由姫ちゃん声が」



「そうだよ!今頑張れって言ったよね?」



周りもそうまくし立ててきて、思わず自分の喉に手を置いた。



今…私声出たの?



「…わ…たし」



発される声と同時に自分の喉が震えるのを感じる。



「…うそ」



呆然とした時、みんなが抱きついてきた。



暖かい温もりを感じて、胸がうるさく鳴り出した。



「由姫!!」


< 86 / 381 >

この作品をシェア

pagetop