熱情求婚~御曹司の庇護欲がとまらない~
「いけない! 早く着替えなきゃ」


そう言いながら、私も勢いをつけてベッドから立ち上がった。
そんな私の腕を、優月が「おい」と言いながら掴み上げる。


「痛いったら」


さっきから乱暴な優月を、咎めるように睨みつける。
それでも優月は気にする様子もなく、私に一歩踏み込んできた。


「無期限ってなんだ。ちょっと遊びたいだけだろ?」


そう訊ねてくる優月に、私は眉をひそめた。


「本当に、何を言ってるの? 私は優月じゃないんだから、遊びで恋なんかしないわよ。もちろん、ご縁があればその後は結婚するつもり」

「つまり、本気で言ってるってことか」

「さっきからそう言ってるじゃない」


なんでそこまで軽い冗談にしたがるのか、私には優月がさっぱりわからない。
不審な気分で、私は力任せに彼の手を振り払った。


「そろそろ法事始まっちゃうわ。優月、着替えるから出て行って」


優月にクルッと背を向けて、窓際のクローゼットの前まで足を運んだ。
優月が動く気配もないから、私はクローゼットを開けながらもう一度彼を見遣る。


「出てってってば」

「……はいはい。わかったよ」
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