熱情求婚~御曹司の庇護欲がとまらない~
私の責任だから、というのはもちろんだけど。


「こんなこと、絶対優月にやらしたくない」


それ以上に私の心を占めるのは、進藤さんから指摘された通り、『嫉妬』という醜く激しい負の感情。
決意表明の独り言を口にして、ぎゅっと唇を噛んだ時、前方から駆け寄ってくる足音が聞こえた。


「綾乃!」


同時に名前を呼ばれて、私はハッと顔を上げて足を止める。


「優月」


近寄ってくる彼を見て、一瞬顔が強張るのを自覚した。
それに慌てて、ぎこちないとわかっていながら、すぐに笑顔を浮かべてみせる。


「おま……なんて格好してんだ、バカ!」


だけど、いきなり優月に険しい口調でそう言われて、私はビクッと立ち竦んだ。


「え? 何って……」


彼は更に歩幅を大きくして、着ていたカーディガンを脱ぎながら、弾むように駆けて来る。
私の前で足を止めた途端、それを私に巻きつけるように羽織らせてくれた。


「あ、あったか……」


無意識に、そう呟いてしまう。
頭の中がカッカとしていたせいか気にならなかったけれど、私も湯冷めしていたのかもしれない。
優月の温もりが残ったカーディガンが、とても温かくて心地いいと思ったのは、身体が冷えていたからだろう。
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