熱情求婚~御曹司の庇護欲がとまらない~
間髪入れずに畳みかけながら、私は勢いよくその場に立ち上がった。
私が張り上げた声に、優月は虚を衝かれたかのように一瞬黙り込む。


私はデスクを回り込んで、彼の目の前で足を止めた。
そのまま、真下から優月を真っすぐ見上げる。


「綾乃……?」


どこか窺うように呼びかけてくる優月に、私は一度大きく息を吸ってから微笑みかけた。


「優月。私は生まれた時からずっと、優月に守ってもらってた。それが当たり前になってて、社会人になってもずっと甘えてた。今だって……私、会社の名を汚したんだよ? 私、穂積コーポレーションの社員なんだから、責任取って辞めるの、普通のことじゃない? なのに」


言いながら感極まって、鼻の奥の方がツンとするのを感じた。
私は慌てて俯いて、涙が込み上げてくるのを堪える。


「許嫁の頃は、甘えた自分を心のどこかで許してた。でも優月、私たちは婚約解消したんだから。優月は穂積コーポレーションの社長として、私を罰する立場なんだよ」

「……許嫁じゃなくても、俺が綾乃を守ることに、変わりはないよ」


優月がそんな言葉を重ねるから、涙が堪え切れない。
俯いたままの私の頬を、ツッと一筋涙が伝った。


「綾乃は俺が恋する女なんだから。これからも変わらず……」

「優月、私も守りたいの! 優月を愛してるから!!」
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