熱情求婚~御曹司の庇護欲がとまらない~
「……胸がないだけで、そこまでへこんでたのか?」


優月が探るように横から見ているのを感じるから、私はプイッと顔を背けた。
そのまま勢いよくジョッキを傾けて、返答を拒否する。


私と優月を向かい側から観察していた進藤さんが、声を噛み殺して笑っているのがわかる。
視界の端っこに肩が揺れているのが映り込むから、私はあまりの恥ずかしさにわなわなと身体を震わせた。


「ま、綾乃ちゃんをからかうのはここまでにして……。優月。お前がずっとないがしろにしてきたから、綾乃ちゃんは自信を失ってるんだと思うよ、俺は。でももう、綾乃ちゃんも大人だ。優月みたいな、過保護なだけの保護者は邪魔になるだけだ」


進藤さんはスーッと笑いを引っ込めて、声のトーンまで低くして真剣な様子でそう言った。


「……保護者?」


それを聞いて、優月が進藤さんの言葉を繰り返す。
その不機嫌な声を聞いて、私はそっと優月に横目を向けた。
進藤さんはテーブルに頬杖をつき、ニヤニヤしながら優月を上目遣いで見据えている。


「許嫁の立場で大事にできなくなったから、今度は保護者面。可愛くて仕方ないのはわかるけど、兄貴にしかなれないお前が、これ以上彼女を束縛しようとするなよ」

「っ……」


優月は言葉に詰まって、進藤さんから顔を背けた。


「優月?」


そのまま黙り込んでしまう優月に、私は恐る恐る顔を向けた。
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