月華の陰陽師1ー朧咲夜、裏の真相ー【完】


「なにもなかったら俺たちはいらないよ」
 

このご時世に、陰陽師なんてものは。
 

陰陽師が隆盛を誇っていたのは平安時代。


それこそ、安倍晴明様の時代だ。


「そうじゃなくて。黒藤が跡継ぎなるのを蹴ってるの、白桜を嫁にするって言い張ってるからでしょ?」


「―――」
 

がくん、と膝が折れて、俺は椅子に座り込んだ。


組んだ手に額を載せる。


「んっとにあのバカは……俺は男だって言ってるのに……」


「白桜が女の子だって知ってるの、ほんと少ないからねー。黒藤が男好きって思われるだけならいいけど」


「さらっと言うんじゃない、百合姫」
 

……俺が本当は女であるというのは、一族内部でも一部しか知らない。

< 11 / 84 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop