月華の陰陽師1ー朧咲夜、裏の真相ー【完】
「黒、少し黙ってここ座れ」
「? うん」
俺が示したのは四阿の中のベンチ。
そして四阿を覆うように結界を張った。
それに気づいた無炎が慌てて四阿に入ってくる。
ベンチに座った黒を見下ろす。
「お前どこのモンの依頼請けた?」
「は、白? 言い方がチンピラなんだけど……」
「あ?」
ガツンっと音を立てて黒が座っているベンチに足を載せる。黒の肩が跳ねた。
「お前にまとわりついてんだよ。鬼の気配だな? お前には関係のないスジ。……依頼を請けて転校してきたのか?」
――本来、依頼人のことを訊くのはご法度。
当然、黒が教えるとも思っていない。
だからまあ、黒が鬼の筋からの依頼を請けていることに、俺が気付いていることのアピールみたいなもんだ。
――黒の急な転校の理由探りでもある。