月華の陰陽師1ー朧咲夜、裏の真相ー【完】


「厄介なのがもう一個、あってな」


「俺が知って問題ない話なのか?」


「まあな。娘の咲桜には彼氏――父である在義公認の恋人がいる。名前を、神宮流夜(じんぐう りゅうや)。美流子の弟だ」


「…………」
 

……………。


「お前、どこの小説世界の話をしているんだ? そんなむしろ都合いい展開あるかよ」


「まあ、これもかなり複雑な経緯をたどってるんだけど、桃子の娘の咲桜の彼氏は、桃子の弟――戸籍上の、弟だ」


「戸籍上?」


「言ったろ? 神宮は滅んだ一族。美流子は本家筋の最後の神宮。つまり、養子出されていたってことになる。神宮流夜のいる神宮は、神祇家の血筋ではあるけど、遠縁もいいところだってことだな」

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