いつも側で君を感じるから。

私たちは一緒に帰ってるけど、ふたりの間には少し距離があって。

傍から見ても仲よさそうには見えないだろうな。

手、つなぎたいのに…。

だんだん寂しくなっていって、目の前の坂道が涙で歪んだ。

私…馬鹿だ。

さっきのみなみとのことや、四宮くんの話を聞いて焦ってるのに何も言い出せない。

そのまま駅について、笑顔でバイバイしようと思ったけど、うまく笑えなくて顔を逸らしてしまった。

しかしその瞬間、新くんに手首を引っ張られ、人気のない非常階段のほうに連れて行かれた。

「ちょっ…新くん!?」

私の正面に立った新くんは、少し不機嫌そうに見下ろした。

「なんでそんな顔すんだよ?」

「え…」

「なんで泣きそうになってんの?」

「泣いてなんか…」

「付き合ってんの内緒にしたいって言い出したり、急に俺と帰ろうとしたり」

「ご、ごめん」

俯く私の顎をつかんで上を向かせた。

「こっち見ろよ」

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