いつも側で君を感じるから。
「それは家族の問題だ、お前らには関係ない。私も医者でね、こんなところで余計なことしている暇はないんだ。ったく、脳震盪くらいで大げさな…」
なにかが私の中で切れる音がした。
「…それでも親なんですか…?」
「え?」
冷たい視線が今度は私の方に向けられる。
でもなんでかな、怖くない。新くんのためなら全然怖くない。
「新くんがどんなに寂しかったか!あなたにどんな酷い事されても警察に訴えたりはしなかった!なんでだかわかりますか?新くんは信じてたんですよ、心のどこかであなたに愛されるのを…手を差し伸べてくれるのをずっと…」
ふっと視線を逸らされ、背を向けられる。
「…あいつが憎いわけじゃない。あいつの母親が憎かったんだよ」
「新くんの…お母さん?」
確か浮気して出て行ったって…。
「私はずっと信じていたんだ…あいつの母親のことを。仕事が忙しく寂しい思いはさせてたがあっちも私の事を信じてくれていると思ってたんだよ。まさか裏切られるとはな…だから同じ顔をした新を見る多度に吐き気がした」