朝はココアを、夜にはミルクティーを
「では、イベントはまずそれで行くとして、ディスプレイは?どうしていくかだいたい決まりました?」
彼に尋ねられて、自信はないが一応うなずいた。
しかし、説明する前に数少ないお客様の姿を遠くに見つけ、私はしっかりと笑顔を作って「いらっしゃいませ」と明るく呼びかける。
同様に亘理さんもとっても爽やかな笑顔で挨拶をしていて、一瞬誰だったっけ?と聞きたくなった。
「……亘理さんもそういう素敵な笑顔ができるんですね」
ぼそっと小声でつぶやくと、隣からものすごく不満そうな声。
「言葉にトゲがありすぎます」
「明るいとか元気とか、そういうのとは無縁なのかと……」
「俺だって営業スマイルくらいできますよ」
彼に促されて、お惣菜コーナーへと移動する。
歩きながら、考えていたディスプレイ案を手短に話す。
「さっき亘理さんもおっしゃってましたけど、購買層はお年寄りと家族連れなんです。なので、商品の目線を今よりも低くしようかと」
「高さを出さないってことですか?」
「特に野菜や果物類はもう、なるべく下に!私たちの肩くらいの位置には、でっっかい値札を貼り付けて、お年寄りにも見やすいようにしておくんです」
「その案だとこれまでの品数は置けませんよね?」
「はい。もう、この際置きません。思い切って挑戦しない、スタンダードなものだけを置きます。変わった野菜や聞いたことない果物は、ブラマに行ってもらいます」
「はは、いいですねそれ」
なにか反論されるかと思っていたけれど、意外と簡単に私の案を受け入れた亘理さんは、たどり着いたお惣菜コーナーで陳列された商品に目を配った。
「お惣菜コーナーは、逆に思いっきり品数を増やそうと思ってるんです」
「……え!そうなんですか?」
「歳をとると料理が億劫になるって言うじゃないですか。お惣菜を充実させて食卓が華やぐなら、みんな買うと思います。それに、お惣菜ってワーママさんたちの強い味方でしょう」
まあ、それは確かに言えてる。
売れ行きが良くないからってお惣菜コーナーはどんどん狭まり、品数も減っていったから亘理さんみたいな発想にはならなかったけれど。
「定番のおかずから最新のオシャレなおかずまで、ここは売り場を倍くらいに広げて展開していこうかと。折り込みチラシは俺が一から作ります。絶対に目に留まるようにしますから。お客様に足を運んでもらえば、まずこちらのものです」
淡々としながらも、頼もしい口調に思わず何度もうなずいてしまった。