茜色の記憶
わたしと凪がコソコソ相談していると、保育園のドアが開いて、大きなベビーカーを押した女の人が出てきた。
ベビーカーに乗った赤ちゃんは、ご機嫌な顔でカラフルな布製のおもちゃで遊んでいる。
その姿に、お父さんが「あっ」と小さく叫ぶ。
「え?」
つられてその赤ちゃんを見て、わたしもハッとした。
「華ちゃん……」
その女の子は、手紙に同封されていた写真と同じ赤いワンピースを着ていた。
わたしたちは固まってしまった。
本当に存在していた、お兄ちゃんの子供の存在に、なぜか胸がいっぱいになっていた。
その時、華ちゃんが持っていたおもちゃを振り回し、落としてしまった。
「華ってば、ちゃんと持って。なくしたら、悲しいのは華よ」
ベビーカーを押していた女の人が、おもちゃを拾い上げると、優しく言葉をかけた。
無造作に髪を束ね、飾り気のない女の人だけれど、華ちゃんを見つめる目が優しくて温かかった。
わたしはお父さんの腕を引っぱった。
「ねえ、お父さん、あの人が玲美さんだよ、きっと!」
「あ、ああ」
「声かけないと、行っちゃうよ!」
しかし、お父さんは思考が止まって、動けないようだった。
「ああ、もう!」
わたしは駆け出し、歩きだした玲美さんと華ちゃんの前に立ちふさがるようにした。
「玲美さんですよね? わたし、西村くるみです。翔の妹の!」
玲美さんは驚きで、声も出ないようだった。
そこに凪がお父さんとお母さんの背中を押し出すようにして連れてきた。
「それから、両親です。ふたりに会いたくてきたんです!」
「お義父さん、お義母さん……」
玲美さんはそうつぶやいたけれど、それ以上は言葉にならなかった。
そして、深く深く頭を下げた。華ちゃんが無邪気な瞳でそんな玲美さんを見上げていた。
ベビーカーに乗った赤ちゃんは、ご機嫌な顔でカラフルな布製のおもちゃで遊んでいる。
その姿に、お父さんが「あっ」と小さく叫ぶ。
「え?」
つられてその赤ちゃんを見て、わたしもハッとした。
「華ちゃん……」
その女の子は、手紙に同封されていた写真と同じ赤いワンピースを着ていた。
わたしたちは固まってしまった。
本当に存在していた、お兄ちゃんの子供の存在に、なぜか胸がいっぱいになっていた。
その時、華ちゃんが持っていたおもちゃを振り回し、落としてしまった。
「華ってば、ちゃんと持って。なくしたら、悲しいのは華よ」
ベビーカーを押していた女の人が、おもちゃを拾い上げると、優しく言葉をかけた。
無造作に髪を束ね、飾り気のない女の人だけれど、華ちゃんを見つめる目が優しくて温かかった。
わたしはお父さんの腕を引っぱった。
「ねえ、お父さん、あの人が玲美さんだよ、きっと!」
「あ、ああ」
「声かけないと、行っちゃうよ!」
しかし、お父さんは思考が止まって、動けないようだった。
「ああ、もう!」
わたしは駆け出し、歩きだした玲美さんと華ちゃんの前に立ちふさがるようにした。
「玲美さんですよね? わたし、西村くるみです。翔の妹の!」
玲美さんは驚きで、声も出ないようだった。
そこに凪がお父さんとお母さんの背中を押し出すようにして連れてきた。
「それから、両親です。ふたりに会いたくてきたんです!」
「お義父さん、お義母さん……」
玲美さんはそうつぶやいたけれど、それ以上は言葉にならなかった。
そして、深く深く頭を下げた。華ちゃんが無邪気な瞳でそんな玲美さんを見上げていた。