茜色の記憶
わたしも海に視線を向けると、ちょうど熟したオレンジのような太陽が、海に溶けるように沈んでいくところだった。

眩しい黄金色の光が、戻ってきた凪を祝福するかのように照らしている。
海から吹く風には早くも秋の気配がにじみ、ひんやりとしていた。

絶えず打ち寄せる波の音、少しずつ群青色に変わっていく空、そしてわたしの隣でじっとその景色を見つめる凪。

わたしと凪の物語が再び始まる最初の1シーンとして、完璧だった。


美しくて、儚くて、愛しい、大切な風景だ。


「東京は楽しかったの?」

「悪くなかったけど、人も建物も詰め込まれてて、僕には息苦しくて……」


わたしは、まだ遠慮の残る凪と話し始めた。

またこうやって一緒に過ごす時を、積み重ねていこう。

少しずつ、少しずつ。ゆっくりでいい。

わたしは凪との間に新しい物語を作れる喜びを感じていた。




終わり
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星の涙
みのり/著

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恋愛(純愛)292ページ

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傷つくことに疲れて、 高い壁を作って、 閉じこもることを選んだ。 傷つけられることも、 傷つけることもない、 わたしだけの場所。 すべてのドアを閉めて、 厳重に鍵をかけて、 日の当たる場所に背を向けて。 わたしを探して呼ぶ声にすら、 気づけずにいた。 誰にも愛されないまま、消えていくのだと思っていた。 ☆ ☆ ☆ ノベリスト みのり from 三月のパンタシア -------------------------------- 三月のパンタシア オリジナル楽曲「星の涙」ノベライズ! <スターツ出版文庫より、2017年3/28発売> -------------------------------- *3/21UP* 三月のパンタシア・みのりです。 小説『星の涙』にたくさんの感想、レビューをありがとうございます。 すべて読ませていただき、たくさんの方が理緒の悩みや孤独感に共感してくださったことに驚いています。 そして、やはり理緒はひとりぼっちではないのだなと実感しています。 『星の涙』を通してみなさんとつながれたことを心から嬉しく思います。 3月28日発売の書籍版『星の涙』では、サイト版では書き切れなかったふたりの想いを加筆しています。 ぜひ、楽曲『星の涙』とともに世界観を感じて頂けたら嬉しいです。

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