ラブ・マスター？ 【ラブレッスン番外編】

溢れる感情

全速力でオフィス街を駆け抜ける俺を道行く人が次々と見ていく。




そんな視線も気にせずただ走った。




部長の教えてくれた事が本当なら、由宇さんは駅前には向かわない。




帰宅して家に入ったら、どんなにお願いしても出てきてもらえないかもしれない。




由宇さんが帰宅する前に捕まえて話をするんだ。





その思いで必死で走った。



帰宅ラッシュも過ぎて人もまばらになりつつあるオフィス街もそろそろ端といった所で、俺の目に移った後ろ姿に心臓が跳ねた。





大きな紙袋を片手に立ち止まり、もう片方のてはケータイを持っているようだった。





そのままそこで止まっててと願いながら必死で駆け寄る。




１０メートル





５メートル……






由宇さんとの距離がゼロになる瞬間、思いきり肩を掴んで振り向かせてた。






凄く驚いたのか掴んでた紙袋が落下する。





俺を見上げながら由宇さんは瞳を揺らがせながら

『ど…してここに？』

小さく呟いた。