ずっとずっと、キミとあの夏をおぼえてる。
忘れられない恋心
チラチラと雪が舞う季節になると、グラウンドのコンディションがよくない日は、ひたすらランニングと筋トレになってしまう。

ランニングが苦手な本山くんはもちろんのこと、地味な練習に顔をしかめる部員たちに、綾子先輩は発破をかける。


「踏ん張って。これも甲子園に行くためよ」


でも、誰もやる気を出したりしない。それは甲子園というハードルがあまりに高すぎるからだ。


「今度の練習試合で一勝しましょう。そのために頑張りましょう」


聞いてもらえないとわかっている私も、必死に声をかけ続ける。
マネージャーまであきらめたら終わりだ。


それに……監督が実力主義を取り入れてくれたら、可能性はある。

大河が先発できれば、もう少し失点は抑えられるはずだ。
そうすれば試合の途中であきらめてしまうこともなくなるかもしれない。


私はあれから、ことあるごとに監督にお願いをしている。

それは大河のためにだけではない。
なんとか一勝できれば、皆のやる気にも火がつくような気がしたからだ。
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