直感的結婚~恋はこれから~
「泰士さんはこちらによく来られているのですか?」

「うん。父と松原さんのお兄さんが同級生なんだ。その繋がりで子供の頃から何かの記念の時とかによく来ている」


なるほど、ここはいわゆるなじみの店というところになるわけだ。


その後、豪華な懐石料理が並べられた。見た目は美しく味は上品で、私はいつもの如くつい食レポをしてしまっていた。


「うわっ、すごい。これ、いろんな味がしますよ。食感も柔らかい中に歯応えのあるゴボウがアクセントになっていて、ものすごく美味しいです」

「うん、美味しいね。さすが食べ物に対する表現力は今日も冴えてるね」


泰士さんが楽しそうに言うから、思わず口を押さえる。

こういう落ち着いた場所では静かに食べるのがマナーなのではないだろうか?

美味しいからと子供みたいにはしゃいでしまうなんて、泰士さんも恥ずかしいと思っているのでは……。


「どうした? 食べないの?」

「あの、うるさいですよね? 私、食べながらペラペラと話していて、よくないですよね? こういう場所では落ち着いて食べた方がいいかと……」
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