キミを奪いたい


「リョウ……」



なんで荒れてるの?
何があったの?



本人に聞きたくても聞けない。


私は遠くで怪我だけはしないようにと祈ることしか出来ない。




「あーちゃん、もう行くって。下へ行こう」

「えっ、あ、うん。行こっか!」



ボーッとしてるときになっちゃんに話しかけられたものだから、驚いて声が裏返ってしまった。


そんな挙動不審な私を見て笑ってるなっちゃんは前と少しも変わらなくて。

私だけがまだあの日の告白のことを意識している。


だって私、恋愛なんてリョウが現れるまでしたことがなかったから、恋愛初心者なようなものだし。


リョウのときは私も会ってすぐ好意を抱いたからこんな複雑な感情になることはなかった。



なっちゃんが私のこと好きだなんて……


あぁもう、どんな顔をして話せばいいのか分からないよ。

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